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メタバースが変える「情報の民主化」と「IP資本主義」― 開かれた扉と閉ざされた金庫。メタバースの本当のルールは? ― 開かれた扉と閉ざされた金庫。メタバースの本当のルールは?

今、デジタル世界の姿は完全に様変わりしています。
数年前までは、こうした話題はマニアックなコミュニティの中だけのものでした。
けれど、今は違います。

Robloxでは、学生が自らゲームを開発し、その収益を得ています。
ZEPETOでは、大学生がデザインしたアバターの服が、たった一日で何千着も売れています。

だからこそ、自然とこんな問いが浮かんできます。
「ここは本当に“みんなの遊び場”なのか? それとも、誰かの巨大な不動産なのか?」

 

インターネットは「できることの範囲」を広げてきた

インターネットの進化とは、単に速度が速くなったとか、グラフィックがきれいになったという話ではありません。
本質は、「人々ができることの種類が、段階的に拡張されてきた歴史」です。

時代できるようになったこと世界の変化
Web 1.0(読む)情報・ニュースを「読む」百科事典 → 検索エンジン。情報の独占が崩壊。
Web 2.0(書く)ブログ・SNSで「書く」誰もが作家・記者。いいねやコメントが経済価値に。
Metaverse/Web3(作る+持つ)空間やアイテムを「作って所有」デジタルの土地、家、服が生まれた。「画面の中の家が売れる」

→ そう、今は「作って、持つ」時代が始まっています。
しかし、まさにそこに新たな壁が立ちはだかります。

アクセスはみんなのもの。
でも、所有と収益はまったく別の話。

 

メタバースで今、実際に起きている3つの現象

① Roblox:学生がゲーム開発者になる

  • 無料のツールでゲームを開発。
  • 実際にお金を稼ぐ。
  • Robloxの公式レポートによれば、上位クリエイター5,500人は年収1,000万円以上。
  • その中には10代、中学生のクリエイターも少なくない。

現実に例えるなら?
→ 学生が自作のテーマパークを開き、入場料を取っているようなもの。

② ZEPETO:たった一日で世界に売れるファッション

  • 大学生がデザインしたアバターの服が、一日で何千着も売れる。
  • ZEPETO公式によれば、人気クリエイターの新作は発売初日に数千件の売上が当たり前。

現実に例えるなら?
→ グローバルなポップアップストアを開き、その日のうちに世界中へ即発送するようなもの。

でも、ここからが本質的な問い。
アクセス自体は確かに平等。誰でも数クリックで、デジタル上の土地のオーナーやショップの店主になれる。
しかし、結局はこう考えざるを得ない。

「そのお金、結局どこに流れているのか?」

 

お金の流れはどこに?

遊び場の扉は確かに開かれている。
でも、その金庫の鍵は一体誰が持っているのか?

収益は上位1%に集中。
→ Robloxの全収益の半分以上が、上位1%のクリエイターに集中。
NFT一つがリアルの高級バッグより高額に。
→ エルメスのパロディ『MetaBirkin』NFTは、実物のバーキンより高く売れた。
→ しかし裁判では商標権侵害で敗訴。
同様の判決は他にも。
→ Yuga Labs(Bored Ape Yacht Clubの運営)が、偽NFTコレクションを販売したアーティストを提訴し勝訴。
→ 米国裁判所は「NFTにも現実の商標権が適用される」と明言。
売れても、まずはプラットフォームが最初に差し引く。
→ アバターの服が一着売れるごとに、著作権・商標権・肖像権・手数料として30%以上が差し引かれる。

 

なぜこうなるのか? — お金の流れの仕組み

仕組みなぜお金が上に集まるのか
レコメンド表示権オンラインの「一等地」。表示 = お金。上位表示には資金が必要。
プラットフォーム手数料決済やショップ利用の手数料は、リアルの百貨店よりも高いことも。
ブランド力現実と同じ。ブランドのロゴが付くだけで価格が跳ね上がる。

→ 開かれた扉の先には、金庫の鍵を持つプラットフォームとブランドがいる。

 

メタバースで「IP(知的財産)」が最重要な理由

ここからゲームのルールは完全に変わります。
メタバースで取引されるものは、ただの画像ファイルではありません。

デジタル資産は法的にこういう構造になっている。

権利意味
意匠権形、構造、シルエットなどのデザイン
商標権ロゴやブランドのシンボル
著作権テクスチャ、パターン、画像ファイル
パブリシティ権アバターが特定の人物に似ている場合の肖像権

→ メタバース内のアバター、スキン、アイテムは、「デジタル権利のバンドル」そのもの。

   

お金の計算は「契約書」ではなく「コード」で行われる

デジタル資産の取引は、現実のように契約書類を交わすものではありません。

どうやって動いているのか?
→ NFTなどのデジタル資産には、スマートコントラクトが組み込まれている。
→ ロイヤリティ率、収益分配、再販条件などがコードとして書き込まれている。
→ 取引が発生するたびに、このコードが自動で実行される。

たとえばこう。
誰かがあなたのアバターの服を再販した場合、契約通り、自動的にあなたに5%のロイヤリティが支払われる。
→ 人の手を介さず、すべてがコードによって自動的に処理される。

条件変更は?
→ 契約書を修正するのに弁護士は不要。
→ 開発者がGitHubでコードをプッシュする感覚で変更する。

→ メタバースは、「法律」と「コード」で動く世界。

 

利用規約は事実上の「私設憲法」

私たちが何気なく押している、あのチェックボックス。
→ その中には、こんな内容が細かく書かれている。

  • 手数料はいくらか?
  • 著作権・商標権の侵害はどう申告するのか?
  • トラブルが起きたら、どの国の裁判所が担当するのか?

→ すべて、プラットフォームが決めている。
→ 小さな文字の中に、憲法並みのルールが詰まっている。

 

結論

権利を知る者が鍵を持ち、コードを書ける者が金庫を握る。

メタバースはもはや単なるゲーム空間ではない。
→ 法律と権利、そしてコードによって組み上げられた巨大な経済システム。
→ そして、そのゲームのルールを決めるのはユーザーではなく、設計する側だ。

 

クリエイターに今すぐ必要な3つの備え

やることなぜ?今すぐできること覚えておくべきこと
ファイルを守るコピー・再販は一瞬オリジナル+日時データをクラウド&USBに保存。透かしを挿入。保存 → 表示 → 条件
利用規約の3行を読む利用規約 = 私設法律手数料の確認、侵害申告の方法、管轄裁判所の確認利益 · 申告 · 管轄
仲間と連携する一人では交渉も訴訟も無理Discordで共同ショップ。DAOに参加。連帯すれば交渉力は2倍以上

 

私たちの未来はどっち?

シナリオAシナリオB
バランスの取れた設計多層ライセンスの標準化、DAOロイヤリティの透明化 → 公平な分配が可能に
バランスの崩壊プラットフォームの独占、NFTの投機 → デジタル貧富の格差がさらに拡大

 

ここまで見てきたように、メタバースは大きな可能性と同時に、リスクや新たなルールも孕んでいます。では、最後に次の『同意』ボタンを押す前に、一度確認してみましょう。

 

エピローグ —次の『同意』ボタンを押す前に。

その中学生は、デジタル上の二軒目の家も、さらに高値で売り抜けた。
一方で、プラットフォームはこっそり手数料を引き上げ、人気スキンクリエイターはロイヤリティの条件を変更した。

「…私、今どんな条件に同意したんだろう?」

メタバースは確かに誰にでも開かれています。
しかし、その金庫の鍵は設計者の手の中に握られています。

次の「同意」ボタンを押す前に、自分の“鍵”が今どこにあるのか、一度確かめてみましょう。

 

自分に投げかけるべき3つの質問

  1. 自分が作ったアバターアイテム。再販時のロイヤリティは何%か?
  2. 紛争が起きたら、どの国の裁判所が担当するのか?
  3. 同じようなクリエイター仲間は、今どうやって団結し交渉力を高めているのか?

 

一言でまとめるなら

「アクセスはみんなのもの。所有は、設計次第。」

 

 

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